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SGA性低身長症のSGAとは、「Small‐for‐Gestational Age」を略した言葉であり、お母さんのお腹の中にいる在胎週数に応じた、標準の身長や体重と比べて小さく生まれることを示します。
同じ性別と在胎週数の赤ちゃん100人を比べて、100人中小さい方から10番目に入るお子さまをSGA児とよばれます。
そのうち約90%は、2〜3歳頃になるまで標準の身長と体重に追いつく(※1)のですが、成長スピードが遅くそのまま低身長の状態が続いた場合は、SGA性低身長症の可能性が高いとされるでしょう。
日本ではSGA性低身長症の罹患率が0.06%であり、約9,600人のお子さまがこの病気の診断を受けていることになります。
また、低栄養状態の女性や高齢出産の増加により、標準体重や身長より小さく生まれる赤ちゃんが10人に1人の割合に増加している背景があります。
そのため、SGA性低身長症と診断されるお子さまは増加していることが特徴です。
SGA性低身長症の主な症状は、低身長であることですが、原因によってさまざまな症状が現れます。
お母さんのお腹の中で、十分に発育できなかった発育不全の場合は、赤ちゃんの特徴として対称性または非対称性に分けられます。
対称性の赤ちゃんは、頭部を含めて体全体が同じように小さいことが特徴です。
一方で非対称性の赤ちゃんは、在胎週数に相当する大きさまで頭部が成長しているのにもかかわらず、体は小さいことが特徴といえます。
この対称性の場合は、赤ちゃんの全身に影響を与えている可能性が高く、その後の成長発達において遅れがみられると考えられています。
低身長症の約95%は、原因が不明の特発性低身長症といわれており、残りの5%は病気が原因といわれています。
その中でもSGA性低身長症は、お母さんから胎児に送られる栄養が不足している栄養障害によって、胎児発育不全になることが原因です。
胎児が栄養障害になるのは、以下のような要因が考えられます。
低身長はお子さまの個性として捉えることが多く、必ずしも低身長のお子さま全員が病気というわけではありません。
しかし、その中でも成長ホルモンの分泌不足や胎児の時に何らかの異常があって生まれたSGA児などの場合は、適切な治療を受けることで改善できる可能性があるでしょう。
そのためには、SGA性低身長症であることを早期に発見する必要があります。
特にSGA性低身長症である可能性は、胎児の頃の発育状態や出生児の体重・身長によって、ある程度予測されます。
定期的に胎児の発育を確認し、出生後も成長の様子を診察することが大切です。
早期発見と適切なタイミングで治療が受けられるように、お子さまの身長を見てあげてください。
以下からエリア別に低身長治療を扱っている病院を探してみてください。
SGA性低身長症の可能性については、胎児の発育状態や出生時の状況、現在のお子さまの身長を確認することである程度の診断ができます。
ただ、治療が必要になるかどうかは正確に検査を受ける必要があるでしょう。
たとえば、低身長の原因が先天性異常による場合は治療の対象となりません。
それ以外の場合は、治療の対象となる可能性があるため、疾患の診断とともに治療の必要性についても判断していきます。
主な検査は、身体検査や血液検査です。
先天的な異常の有無や手足と全身のバランスを見るために、定期的に身体計測を受けます。
また、低身長を引き起こす原因となる病気の有無について、血液検査で検査することも大切です。
SGA性低身長症の治療は、成長ホルモンの補充療法がメインになります。
その他に、原因によって治療が必要な場合があるでしょう。
ただし、保険適用の範囲で治療を受けるためには、以下の条件を満たすことが必須です。
この3つの条件を全て満たすことで、保険適用の治療が受けられます。
元々お母さんのお腹の中にいる頃から発育不全のお子さまや、出生時の体重や身長が標準より小さいお子さまの場合は、成長に問題ないと確定できるまで定期的に診察を受けるでしょう。
できるかぎり早期発見と適切な治療を受けられるよう、定期検診や乳児検診は必ず受診しましょう。
産まれた時からSGAと診断されたときくんのチャンネル。1年ほど更新が途絶えていますが、2〜3歳児の検査や治療の様子など、参考になる動画も。