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ターナー症候群はモノソミーXともいわれ、女性のみに起こる染色体異常の病気です。
女性が持つX染色体2本のうち、一本のX染色体が全部または一部欠損し、遺伝子情報が不足することで発症するとされています。
そのため、X染色体が一本だけの男性には起こらないといえるのです。
また、ターナー症候群は、出生女児のうち1,000〜2,500人に1人といった割合で起こり、現在は難病として指定されています。
主に母親のお腹の中で育っている段階から、染色体異常が起こることが多く、そのほとんどは自然流産になってしまいます。
そのため、生まれつきの体質として捉え、後天的にターナー症候群になることがないことは疾患の特徴です。
ほとんどは出生時に早期発見されることがありますが、ある程度成長してから気づくことも多いでしょう。
ターナー症候群の女の子には、以下のように共通した身体的な特徴と性的な成熟の遅れが多くみられます。
このような症状があり、お子さまによって複数の症状が重なり、症状の程度や発現のタイミングが異なることが多いでしょう。
また、ターナー症候群のお子さまには必ずしも知的障害を伴うわけではありませんが、算数や体育が苦手といった得意不得意が現れることはあります。
また、お子さまによっては注意欠如・多動性の症状がみられる場合があり、授業中に落ち着いて座っていられなかったり、興味のあること以外には関心を示さなかったりといった特徴もみられるでしょう。
ターナー症候群はさまざまな症状や合併症を伴うお子さまが多いですが、うまくコントロールすることで日常生活を送ることは十分可能です。
主な合併症としては、以下のものが挙げられます。
このように、多くの合併症の可能性はありますが、診断がついたタイミングやその子に起きやすい合併症を早期に発見することで、症状の進行を抑えることも可能でしょう。
定期的に検査を受けて、合併症の有無を確認していくことが大切です。
ターナー症候群は染色体異常であり、女性だけに起こる先天性の疾患です。
女性が持つ2本のX染色体のうち、1本のX染色体が全てまたは一部欠失していることでターナー症候群となります。
その原因は明らかになっておらず、偶然的に起こる病気といわれています。
母親の中には、「自分の健康状態が悪かったから」「高齢出産だから」というイメージを持ってしまいがちですが、それが原因にはなりません。
また、両親が染色体異常を持っている場合でも、ターナー症候群のお子さまが生まれるとは限らないでしょう。
その逆に、両親が染色体異常ではない場合でも、ターナー症候群の赤ちゃんが生まれることもあります。
このように、原因は明確ではなく、両親の遺伝や母親の身体的な問題が影響しているとはいえないでしょう。
ターナー症候群は、外見的な見た目として手足のむくみ、首の後ろの皮膚がたるみ、首が太く見えるといった特徴が確認できれば、ターナー症候群の可能性を考えます。
その後は、血液検査によって染色体に異常がないか検査を行います。
この外見的な特徴と染色体異常がみられれば、ターナー症候群として診断が可能です。
また、合併症についても注意して観察する必要があり、心臓のエコー検査やMRI検査、その他の合併症について定期的に検査を受けることになるでしょう。
さらに、出産前にターナー症候群の診断を受けられるNIPT(新型出生前診断)があります。
これは、お腹の中にいる赤ちゃんの性染色体を調べるために、お母さんの血液を採取する検査です。
赤ちゃんへのリスクがなく検査が受けられますが、通常の検査とは異なるスクリーニング検査として位置付けられています。
高い精度でスクリーニングできますが、全ての医療機関で実施しているわけではありません。
ターナー症候群は難病指定されている病気であり、現在は完治させる治療法はありません。
その理由としては、染色体異常が原因のため、染色体自体を書き換えることができないからです。
ただ、さまざまな症状を和らげたり合併症を予防したりできる治療を受けながら、日常生活を送れるようになります。
主な対症療法としては、以下の方法があります。
このように、ターナー症候群を治療するのではなく、症状が合併症をうまくコントロールしながらお子さまの成長をサポートすることが大切といえるでしょう。