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低身長治療は、数年単位で治療を継続する必要があり、かかる費用が非常に高くなることが特徴です。
ここでは、ホルモン治療をはじめとする低身長治療の費用の目安や利用できる医療費制度について解説します。
低身長治療の基本といえばホルモン治療です。まず、ホルモン治療の費用から解説していきます。
使用する成長ホルモン製剤の種類や投与量によって費用に大きく差がありますが、基本的には高額な治療費になることは特徴です。
また、成長ホルモンの治療は、1回や1年で治療を終えるわけではなく、2〜3年以上の治療期間が必要になります。
その分、治療費の負担は大きくなるでしょう。
さらに治療費については、他にもお子さまの体重や診断の有無によっても変わります。
そのため病院を受診し、どのくらいの費用がかかるのか事前に説明を受けることが大切です。
ホルモン治療は、お子さまの体重によって投与量が決まりますが、体重あたりの投与量については診察の上で、医師が判断します。
たとえば、日本製成長ホルモンを使用した場合、1本10mgあたり税込7万円の費用と高額になるので、1本5万5千円の海外産を使用するクリニックも多いようです。
ここに、お子さまの体重と投与量を計算し、費用を決めていきます。
費用の目安は、以下を参考にしてください。
※費用はすべて「のびのびNavi」が複数のクリニックを調査し、出したものです。
体重 | 月額 | 年間 |
---|---|---|
体重20kg | 月14万円〜 | 年間168万円〜 |
体重30kg | 月21万円〜 | 年間252万円〜 |
体重40kg | 月28万円〜 | 年間336万円〜 |
体重50kg | 月35万円〜 | 年間420万円〜 |
こちらは、自費の場合で計算している目安となり、投与量は診察した医師によって決められます。
よって、お子さまの体重では、「大体このくらいの費用がかかりそうなんだ」という目安として理解してください。
低身長治療として成長ホルモン製剤を使用する場合は、病気として診断される方と身長を伸ばしたいという病気ではない方に分けられます。
病気として診断されると保険適用になるため、治療費の負担は軽減されるでしょう。
保険診療とされる疾患には、以下が挙げられます。
お子さまの身長が、平均値から-2.0SD以上の場合、保険が適用される可能性があります。SDとは、標準偏差を示す数値です。
「のびのびNavi」では、10秒でお子さまのSD値目安チェックできるので、活用してください。
一方で、病気ではない特発性低身長、家族性低身長(遺伝)の場合は、基本的に自費診療となり、高額な治療費がかかります。
自費での低身長治療を受けているクリニックは、全国でもそう多くありません。以下ページにまとめていますので、ぜひ活用してください。
低身長治療は、成長ホルモン製剤の価格や体重による投与量、長い治療期間が必要になり、毎月支払う治療費は高額になります。
病気ではない場合は自費診療のため、負担の軽減は難しいですが、病気として診断され、治療の適用となれば助成制度の利用が可能です。
医療費の自己負担額の軽減や、公費によって受けられる一部助成については、以下の制度があります。
事前に、それぞれの制度に適用しているのか確認することが必要です。
利用できる制度は申請し、治療費の負担軽減と治療に専念できるように活用しましょう。
思春期が始まると身長の伸びが止まってしまうので、低身長を治療する場合には、思春期を遅らせる薬を使うことがあります。
代表的なものは内服薬のプリモボラン、注射のリュープリンです。
100錠3万円、1日1回1〜4錠ほど服用します。
肝機能障害やニキビを引き起こす可能性があります。
また、女性の声を低くする可能性があり、これは一時的なものではなく、戻らないため、女性には処方しないクリニックもあります。
女の子の低身長治療において処方するクリニックもありますが、保護者さまが十分に考えて判断した上で使用を決定してあげてください。
4週間に1回注射し、1回5〜7万円が目安です。
これらの思春期コントロール薬は、定期的に採血をしてホルモンや副作用など、体にマイナスな影響が出ていないかを確認しながら慎重に服用する必要があります。
リュープリンやプリモボランに関する動画は、術後のホルモン治療に関するものが多く、小児の身長治療に関するものはほとんどありません。
YouTubeやInstagramなどで「身長先生」として低身長治療の情報を発信している(※)東京神田整形外科クリニックの田邊雄先生が動画で発信していますので、思春期コントロールについて、より詳しく知りたい方はチェックしてください。
(※)2023年9月2日時点