低身長になる原因には、最終身長を決定する骨端線の閉鎖や遺伝、成長障害などの病気が挙げられます。
ここでは、低身長を引き起こす原因や病気の特徴と対策、治療法について解説します。
骨端線は骨の両端にある隙間の部分であり、身長の伸び代を示している細胞です。
新しい骨を作る細胞が活性化し、骨端線が伸びることで身長も伸びます。
しかし、骨端線は思春期をピークに隙間が骨に置き換わり、18歳頃を目安に閉鎖するという自然現象が起きるのです。
その結果、骨の成長が終わり、身長の伸びもストップしてしまいます。
一度閉鎖した骨端線を開くことはできません。
そこで、低身長の可能性がある場合は骨の成長を促す生活習慣を送ることが大切になります。
成長ホルモン分泌不全性低身長症は、脳の下垂体前葉から分泌される成長ホルモンが何らかの原因によって、分泌低下を引き起こされている成長障害です。
この成長障害のお子さまは、ほとんどが出生時体重は正常であり、乳幼児期に気づくケースが多くみられます。
原因は、先天性や遺伝性、下垂体腫瘍、周産期異常などが挙げられます。
主な治療は、成長ホルモン補充療法であり、さまざまな検査をとおして原因を判定し、できるだけ早い年齢から治療を開始することが大切です。
成長ホルモン分泌不全性低身長症の
症状や治療について詳しく読む
SGA性低身長症は、お母さんのお腹の中にいる在胎週数に相当する標準の身長、体重と比べて、小さく生まれることを示します。
小さく生まれたお子さまの約90%は、2〜3歳頃になるまで標準に追いつく(※)のですが、成長スピードが遅く身長が伸びない場合に、このSGA性低身長症と診断されます。
ほとんどが原因不明の特発性ですが、栄養障害による胎児発育不全によるものとされています。
できるだけ早めに成長ホルモン補充療法を開始できるよう、早期発見が大切になります。
ターナー症候群は、女性のみに起こる染色体異常の病気で難病に指定されています。
お母さんのお腹の中にいるときから染色体異常が起きているため、出生前診断や出生時に発見されることが多いでしょう。
さまざまな身体的な特徴があり、低身長やリンパ浮腫、太い首、眼瞼下垂などの症状や、心臓系の疾患などの合併症がみられます。
外見的な特徴と血液検査、エコー検査によって診断され、成長ホルモン補充療法などの対症療法を行います。
ヌーナン症候群は、遺伝子異常の先天性疾患で難病に指定されている病気です。
身体のあらゆる器官において、正常な発達ができずに低身長や顔貌の特徴、先天性疾患、血管系の異常、骨格の異常などがみられます。
原因が完全に解明されておらず、現れているさまざまな症状や合併症に応じた対症療法を行うことが主な治療です。
成長の異常によって起こる低身長や二次性徴の遅れなどは、成長ホルモン補充療法によって成長を促していきます。
軟骨無形成症は、骨の成長に大きく関係している軟骨に異常をきたし、全身の骨の形成が阻害される病気です。
特徴的な症状として、手足の短縮を伴う低身長があります。
その他にも、姿勢や顔貌に特徴があり、脳神経系の異常や脊椎系の異常などの合併症もみられます。
遺伝子変異が原因とされていますが、難病指定になっている病気であり、完治できる治療法はありません。
そのため、さまざまな症状や合併症に応じた対症療法を行うことが基本になります。
低身長は両親の身長が大きく関係し、8割程度が遺伝的要因によると考えられています。
これを家族性低身長といわれていますが、必ずしも低身長になるとは限らないともいえます。
遺伝以外でも、質の良い睡眠や成長に必要な栄養素を摂ること、規則正しい生活習慣や適度な運動などによって、成長ホルモンの分泌を促すことが可能です。
その結果、両親が低身長であってもお子さまの身長が伸びる可能性も高まります。