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ヌーナン症候群は、遺伝子異常の先天性疾患です。
身体のあらゆる部位において、正常な発達がみられず身体的な異常をきたすことが特徴で、先天奇形症候群に分類されています。
遺伝子異常ではありますが、両親から遺伝するだけではなく、遺伝子異常のない両親から生まれた子どもにも発症する可能性があります。
出生において男女比はなく、約1,000〜2,500に1人の割合で発症し、国内には約600人の患者さんがいる難病に指定されている疾患です。
ヌーナン症候群は、出生時や幼少時期において低身長がみられ、同性・同年齢のお子さまと比べて-2SDを下回ります。
その他にも、以下のように全身のあらゆる部位に特徴的な症状がみられます。
ヌーナン症候群は遺伝子異常によって起こる病気であることは分かっていますが、その原因が完全に解明されているわけではありません。
これまで、原因遺伝子としてRAS/MAPKシグナル伝達経路といわれる、正常な細胞の成長・増殖に関わる伝達経路が原因として発生するとされています。
ただ、約15%のヌーナン症候群の患者さんには原因遺伝子の異常が確認されていないことも現状です。
ヌーナン症候群は、原因遺伝子として考えられているRAS/MAPKシグナル伝達経路を対象として、遺伝子診断を行います。
ただ、遺伝子異常が解明されていないことから、主には全身のあらゆる臓器に現れる特徴的な症状から診断することになるでしょう。
また、他の病気との鑑別を行うことが大切であり、血液検査や心臓の検査、レントゲン検査などを行います。
ヌーナン症候群は、難病指定されている病気であり、原因の解明や完治できる治療法は現時点ではありません。
そのため、さまざまな症状に応じて対症療法を行うことがメインの治療になります。
たとえば、成長の異常によって起こる低身長や男児の精巣の発育不全、女児の初潮遅れは、成長ホルモンを補充することで成長促進が期待できるでしょう。
また、心疾患の合併症は予後にも大きく影響するため、適切なスクリーニングと定期的に経過を追っていく必要があります。
さらには、白血病や血液がんなどは、必要に応じて手術や化学療法などの治療を受ける可能性もあるでしょう。
このように、対症療法によってさまざまな身体症状をコントロールしていくことが大切になります。